「人は死を憎むなら,生を愛すべきである。命あることを喜び,日々を楽しまねばならない。愚者はこの楽しみを忘れて,いたずらに苦労をして余の快楽を求め,生きているというこの尊い財(たから)のありがたみを忘れて,虚(むな)しく他に財を求め,ついに心が満たされることがない。・・・人が生を楽しまないのは,死を怖れていないからである。死の近いことを忘れているからである。」(『徒然草(日本文学全集07所収)』,内田樹訳,河出書房新社)
◯死を恐れて生を愛すること。今ここでこうして生きていられることを喜び,人生をしっかり味わい,楽しむこと。これこそが,幸せであるための条件なのではないだろうか。会津八一の「学規」の第一にも,「ふかくこの生を愛すべし」とある。(2019年7月1日)