「これまでの人生に満足をしている人は死の不安が少ない・・・しかし人生の満足度はその中身というよりもむしろ人生のさまざまな出来事をどのように受け取るかという態度に関わるように思う。/・・・人生のさまざまな出来事に対してどのような態度で臨むかということがその人の幸福度を決めるように思う。」(「すべて働いて益となる」(『文藝春秋 新幸福論 本当の幸せとは?』所収),柏木哲夫,文藝春秋)
◯足るを知り(欲張ることなく,自分が持っている物だけで十分に満足できるということ),どのような境遇にあろうとも常に満ち足りた気持ちで生活できている人は,さらに言えば,真に人間らしく実り多い,生きる喜びに満ちた幸せな人生を送ることができている人は,生(生きているということ)の値打ちや,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さを十分に承知しながらも,死に臨んでじたばすることはないのではないでしょうか。人生を大いに楽しみながら真に人間らしく実り多い人生をまっとうできたという満足感から,死に臨んでは,この世の中に生まれてこれたことに対する感謝の気持ちを新たにしつつ,死を心静かに泰然と受け止めることができるのではないでしょうか。そんな気がします。(2020年8月16日)(7)(8)(14)関連