「老いの幸福というのは自足を知ることである。」(「その場その場の絵」(『文藝春秋 新幸福論 本当の幸せとは?』所収),田辺聖子,文藝春秋)
◯たいていの人間は,年を取るとともに自然に無欲・小欲の状態に近づき,そのことに伴って自分と他者を比較したり,他者と競い合ったりすることも少なくなり,自分の人生をあるがままに受け入れ,満足できるようになっていきます。しかし,年を取らずとも,意識的に自分を無欲・小欲の状態に近づけることができるなら,自足した人生を送ることは可能なのではないでしょうか。常に満ち足りた気持ちで機嫌よく生きたいのであれば,欲張ることはやめ,むしろ小さな満足にも大きな幸せを感じられるように,幸せを感じ取る感度を上げることにこそ努力すべきであると思います。(2020年5月9日)