◯たいていの人は,死を怖れてはいるが,生きていることを喜んでいるようにはあまり見えない。それは,ふだんの生活の中で,自分がいつか必ず死ぬという事実を忘れている(あるいは,故意に忘れようとしている)からである。そのため,生きていられることへの感謝の気持ちも薄れ,生きていることを喜んだり,生きていることそれ自体に幸せを感じたりすることができないのである。そして,結局は,内面の満たされなさやむなしさを紛らわせようとして,つかの間の刺激や興奮やスリルを追い求める結果になってしまう。(2019年7月1日)