「ブッダは,渇望の対象こそが幸福を授けてくれると思うのは,心が病んでいるのだと言います。」(『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』,ティク・ナット・ハン,島田啓介訳,野草社)
○私たちは,社会的な成功を収めなければ幸せになれない(社会的な成功を収めれば幸せになれる)と勘違いしがちですが,社会的な成功と幸せは,まったく別のことです。実際,社会的な成功など収めなくても幸せな人生を送っている人はいくらでもいますし,社会的な成功を収めていながら不幸な人生を送っている人もいくらでもいます。むしろ,社会的な成功(財産や地位や権力や名声など)に執着すればするほど,不平不満,妬みそねみ,恨みつらみ,失意失望,自暴自棄といった心理状態に自分を追い込んでしまう危険性は高まり,幸せからは遠ざかってしまうのが普通なのではないでしょうか。人間の幸不幸は心の持ち方次第です。例えば,「生きてるだけで丸儲(まるもう)け」(さんま)と心の底から思えるなら,社会的な成功など収めなくても,私たちは生きているというだけで幸せになれます。そして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,たとえどのような逆境(苦境)にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても,私たちは生きている限りは幸せであり続けることが可能になります。社会的な成功を収めなければ幸せになれないなどといった迷信(迷妄)から,早く目を覚ましたいものです。(1)(4)(6)(7)(10)(14)関連