「すべての悩みは対人関係の悩みである（アドラー）」，「対人関係の問題は，他者を自分の行く手を遮る存在，「敵」と見なすことから生まれます。・・・他者を敵ととらえる考え方こそが，人間関係の悩みを作り出しているといえます。」，「他者を敵ではなく「仲間」と考えてみれば，人生は大きく変わります。」（『１００分de名著 アドラー『人生の意味の心理学』』，岸見一郎，NHK出版）
○私たちは，自分と他者を比較しては，とかく他者との勝ち負けにこだわりがちです。しかし，このように他者を競争相手（敵）と捉えてしまうからこそ，世の中は不寛容で殺伐とした暮らしにくいものになってしまうのではないでしょうか。そもそも，私たちは，独り（孤立無援の状態）では生きていられず，他者と支え合い，助け合ってこそ生きていられるのですから（私たちと他者は持ちつ持たれつの相互依存関係にあるのですから），他者を競争相手と見なして足を引っ張り合ったり，パイを奪い合ったりするような生き方ではなく，他者を協力相手（味方・仲間）と見なして仲良く助け合ったり，生きる喜びや幸せを分かち合ったりするような生き方こそが，人間にとって自然で真っ当な生き方と言えるのではないでしょうか。世の中をもっと寛容で温かみや潤いのある暮らしやすいものにするためにも，他者と競い合って社会的な成功を収めなければ（財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ）幸せになれないなどといったデマを鵜呑（うの）みにしたり，そのようなデマに踊らされたりしないようにしたいものです。「勝ち組」・「負け組」などといった言葉に，くれぐれも惑わされないようにしたいものです。（１）（３）（４）（６）（10）（11）（14）（18）関連
