「競争は,精神的な健康を損ねるもっとも大きな要因です。勝つか負けるかの競争の中に身を置いている人は,たとえ競争に勝っても,いつ負けるかもしれないと思っているため心の休まる暇がありません。」(『100分de名著 アドラー『人生の意味の心理学』』,岸見一郎,NHK出版)
○他者と競い合って財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないなどといったデマを鵜呑(うの)みにしたり,そのようなデマに踊らされたりしないようにしたいものです。なぜなら,実際のところ,財産や地位や権力や名声などを手に入れたからと言って,幸せになれる保証などどこにもありませんし(広く世間を見渡せば,誰にでも分かることです。),むしろ,財産や地位や権力や名声などに執着すればするほど,自分で自分を不平不満,妬みそねみ,恨みつらみ,失意失望,自暴自棄といった心理状態に追い込んでしまう危険性は高まり,幸せからは遠ざかってしまうのが普通だからです。そもそも,私たちは他者と支え合い,助け合ってこそ生きていられるのであり,その意味で,私たちと他者は一体なのですから(持ちつ持たれつの相互依存関係にあるわけですから),他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方ではなく,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりするような生き方をこそ心がけたいものです。自分で自分の首を絞めるような真似(まね)だけは,是非ともやめたいものです。(1)(10)(11)(14)(20)関連