「「もつ」ことは他者がいれば,その分,自分の分け前が減ります。しかし,「ある」ことは他者と分かち合うほど,その喜びは大きくなります。」,「私たちは,「もつ」ことだけに幸せを求める態度を超えて,もっと人として「ある」ことの幸福を分かち合えるヒューマンな人間味に満ちた社会を,未来に向けて建設していくべきではないでしょうか。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○他者と競い合って社会的な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないと勘違いしている人もいますが,財産や地位や権力や名声などを手に入れたからと言って幸せな人生が保証されるわけではありませんし,そのような勘違いをしている限り,他者を競争相手と見なさざるを得なくなってしまいます。しかし,私たちは本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのではないでしょうか(重病を患えば誰もが実感するように,生きているということは一つの奇跡であり,心から感謝すべき有り難ことです。)。また,私たちは他者と支え合い,助け合ってこそ生きていられるのであり,その意味で,私たちと他者は本来一体なのですから,他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような「弱肉強食」的な生き方ではなく,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして仲良く助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりするような「共存共栄」的な生き方こそが,人間にとって自然で真っ当な生き方と言えるのではないでしょうか。他者と仲良く助け合いながら幸せな人生を送れるようになるためにも,財産や地位や権力や名声明などを手に入れることではなく,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに感謝できるようになる(生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになる)ことをこそ,目指したいものです。(1)(4)(6)(10)(11)(14)(21)関連