「(狩猟採集民族にとっては)生き残るためには分かち合うことがとても重要だった」,「人間の乳児の最初の行動のひとつは物を拾って口のなかに入れることです。次の行動は拾ったものをほかの人にあげることです」(『ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか』,NHKスペシャル取材班,角川書店)
○私たち人間は,互いに支え合い,助け合ってしか生きていられないのですから(実際,衣・食・住のどれ一つをとっても,完全に自給自足できている人などいないのではないでしょうか。),他者(あるいは,他国)を協力相手(味方・仲間)と見なして助け合ったり,幸せを分かち合ったりするような生き方こそが,人間にとって自然な生き方と言えるのではないでしょうか。しかし,社会が豊かで安全で便利になり,直接的には他者と支え合ったり,助け合ったりする必要性が低下すると,私たちはどうしても,人間は独りでは生きていられないという事実を軽んじるようになってしまいがちです。そして,他者に対する感謝の気持ちを忘れては自分のことばかりを考えるようになり,他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方を良しとするようになってしまいます。私たちはそろそろ,どちらの生き方がより自然な生き方なのか,より幸せな生き方なのかということを改めて真剣に考え,自分の考え方や生き方を見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。(11)関連