「天は自ら助くる者を助く」，「蒔（ま）かぬ種は生えぬ」，「ためない貯金はたまらない」（五味太郎）などとも言います。人生の行き詰まりを本気で打開したいと望むのであれば，人生が行き詰まったことの原因や責任は，他者や社会にあるのではなく自分にある，少なくとも，他者や社会にもあるかも知れないが自分にもある，と考えを改めた上で，自分（自分の心の持ち方や考え方や生き方など）を変えることや，自分にできること一つ一つに全力で取り組むことによって人生の行き詰まりを打開しようとする方が，すなわち，自分の人生を，他者まかせ，社会まかせ（あるいは，境遇まかせ，運命まかせ）にするのではなく，自分の人生を自分の意志や努力によって主体的に切り開いていこうとする方が，よほど実現可能性の高い賢明な選択と言えるのではないでしょうか。「他罰的（他責的）」な考え方や生き方を「自責的」な考え方や生き方に改めることで，プライドは一時的に大きく傷つくでしょうが，人生が行き詰まってしまったことの原因や責任は自分にはないと考えている限り，それを自分の努力によって打開しようとは，なかなか思えないものです。たとえ自分を変えることや，自分にできること一つ一つに全力で取り組むことによって人生の行き詰まりを打開することができなかったとしても，恨み言や泣き言を言っているだけで何ら希望の持てない人生より，自分の意志や努力によって何とか希望を見いだし，希望をつないでいこうとする人生の方が，よほど意味のある建設的な人生と言えるのではないでしょうか。人生は本来ままならないものであるとは言え，そのままならない人生をどのように生きていくのかを決めるのは自分です。自分の人生の主人公はあくまでも自分なのですから，その主導権（自分の人生を自分の意志や努力によって主体的に切り開いていく権利，自分の人生をどのような心構えや心がけで生きていくかを自分で決める権利など）だけは，決して手放すべきではないと思います。
