「悲しい現実をなげくより/今 何ができるかを考えよう(坂井泉水)」(『365日 一日一言』,齋藤孝,世界文化社)
○私たちは,人生に行き詰まったり,物事がうまくいかなくなったりすると,それを他者や社会,あるいは,境遇や運命のせいにしがちです。しかし,他者や社会をいくら恨んだり,責め立てたりしたところで,また,恵まれない境遇や不運をいくら呪ったり,嘆き悲しんだりしたところで,行き詰まりが打開されたり,事態が好転したりすることはありません。なぜなら,他者や社会,あるいは,境遇や運命を自分の思い通りにすることなど絶対にできませんし,そもそも,人生に行き詰まったり,物事がうまくいかなくなったりしたことの原因や責任が,それらにあるとは限らないからです。人生の行き詰まりを打開したい,事態を好転させたいと本気で望むのであれば,自分(自分の心の持ち方や考え方や生き方など)を変えることも含め,自分にできること一つ一つに全力で取り組むことをこそ心がけるべきなのではないでしょうか。自分にできること一つ一つに全力で取り組んだからと言って,必ずしも人生の行き詰まりが打開されたり,事態が好転したりするとは限りませんが,恨み言や泣き言を言うだけで何の希望も持てない生き方より,自分の意志や努力によって何とか希望を見いだし,希望をつないでいこうとする生き方の方が,よほど意味のある建設的な生き方と言えるのではないでしょうか。自分の人生の主人公はあくまでも自分なのですから,自分の人生の主導権(自分の人生を自分の意志や努力によって主体的に切り開いていく権利)だけは,決して手放さないようにしたいものです。(前書き)(3)(5)(7)(9)(15)関連