私たちは,人生に行き詰まると,それをすぐに他者や社会(あるいは,境遇や運命)のせいにしがちです。しかし,他者や社会の影響力は,本当にそんなに大きいのでしょうか。私たちの人生は,他者や社会によって決まってしまうのでしょうか。確かに,人生の行き詰まりには,他者や社会に原因や責任の一端がある場合があるかも知れませんし,行き詰まりを打開すべく自分で努力するよりも,恨み言や泣き言を言っている方が楽かも知れません。その方が,自分のプライドも傷つかないで済みます。しかし,自分の人生をどのように生きるかを決めるのは,最終的には私たち自身なのですから,人生の行き詰まりの原因や責任は自分にこそあると考えるべきなのではないでしょうか。いくら他者や社会を恨んだり,責め立てたりしたところで(あるいは,いくら恵まれない境遇や不運を呪ったり,嘆き悲しんだりしたところで),人生の行き詰まりを打開することはできません。なぜなら,人生の行き詰まりの主たる原因や責任が他者や社会にあるとは限りませんし(大抵の場合,人生の行き詰まりの主たる原因や責任は自分にあるものです。),たとえ他者や社会に主たる原因や責任があったとしても,他者や社会を自分の思い通りに変えることなど絶対にできないからです。できないことをしようとすれば,不平不満や不遇感・被害感ばかりが募り,ますます人生に行き詰まってしまうことになります。