「わが身は親より受け,親の身は天地より受け,天地は宇宙の本体から生まれるから,わが身は宇宙の本体の分身変化したものである(中江藤樹)」,「天地の万物は,宇宙から生まれたものとして,同根一体である」,「人の命のもとをたどれば,親から先祖へ,さらに宇宙の生命の根源までさかのぼるから,すべての人は同じ生命の根源から生まれた同胞である。」(『もういちど読む 山川倫理』,小寺聡編,山川出版社)
○この宇宙に存在するすべての物は,地球上に生存する多種多様な生き物も含め,もとを正せば一つの物から分化・発展してきた物たちなのですから,すべての物は深いところでつながっており,何らかの影響を与え合っているはずです。特に,私たちは,他者と支え合い,助け合ってこそ生きていられるのであり(実際,衣・食・住のどれ一つを取っても,自給自足できている人などいないのではないでしょうか。),その意味で私たちと他者は本来一体なのですから,他者を競争相手(敵)と見なして,足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方ではなく,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして,助け合ったり,幸せを分かち合ったりするような生き方こそが,人間として自然で真っ当な生き方と言えるのではないでしょうか。しかし,財産や地位や権力や名声などに執着すれば,他者と競い合い,他者を競争相手と見なさざるを得なくなってしまいます。真に人間らしい生き方を実現できるようになるためにも,財産や地位や権力や名声などに対する執着から早く解放されたいものです。(4)(6)(11)(17)(19)関連