「愛されて育った子どもは,愛されるうれしさをその身で覚え,やがて人を愛することの喜びを知ります。」(『もういちど読む山川倫理 PLUS 人生の風景編』,小寺聡編,山川出版社)
○私たちは独りでは生きていられません。実際,生存に欠かせない衣・食・住のどれ一つを取っても,完全に自給自足できている人などいないはずです。私たちは,直接的なものも間接的なものも含め,数知れぬ他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのです。この事実を肝に銘じ,他者に対する感謝の気持ちを決して忘れないようにしたいものです。他者に対する感謝の気持ちを忘れない限り,他者と仲良く助け合いたい,他者と生きる喜びや幸せを分かち合いたいという気持ちは自然に芽生えてくるはずです。他者に対する感謝の気持ちを忘れない限り,他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような現在主流の生き方が人間にとっていかに不自然で歪(ゆが)んだ生き方であるかということが,実感としてよく分かるはずです。他者と競い合って社会的な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれない,あるいは,生き残れないなどといったデマを鵜呑(うの)みにしたり,そのようなデマに踊らされたりしないよう,くれぐれも用心したいものです。(1)(6)(7)(10)(11)(20)(21)(後書き)関連