「近現代の個人主義的な考え方の中では,今の世代の豊かさの追求のみを中心にして,未来の世代に対する責任という意識が希薄であった。私たちは,現在の生活を営むと同時に,未来の世代の生存可能性についても責任を負い,人類の生き残りを真剣に考えるべきときにきている。」(『もういちど読む 山川倫理』,小寺聡編,山川出版社)
○私たちは,独り(孤立無援の状態)では生きていられません。私たちは,他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのです。実際,生きていくのに欠かせない衣・食・住のどれ一つを取っても,完全に自給自足できている人などいないはずです(少なくとも現代社会においては)。また,私たちが暮らしている社会は,人類史上最も豊かで安全で便利な社会と言えますが,私たちがこのような社会で暮らすことができるのも,先人がこのような社会を築いてくれたお陰であり,また,分業という協力体制の下で,私たちが他者と支え合い,助け合っているからこそです。このような現実を正しく認識した上で,先人も含め,他者に対する感謝の気持ちを決して忘れることなく,また,先人から受けた恩恵を後人にも確実に引き継げるように生きていきたいものです。くれぐれも,「今だけ金だけ自分だけ」といった近視眼的・拝金主義的・利己的な考えに染まってしまわないように用心したいものです。(2)(4)(6)(11)(12)(14)(21)関連