「私がだれかを喜ばすとき/幸せなのはこの私」(「影と海」(『すこやかに おだやかに しなやかに』所収),谷川俊太郎,佼成出版社)
○私たちは,他者と支え合い,助け合ってしか生きていられないのであり(例えば,衣・食・住のどれ一つを取っても,自給自足できている人など,少なくとも現代社会には一人もいないのではないでしょうか。),私たちと他者は,持ちつ持たれつの相互依存関係,言わば「一蓮托生(いちれんたくしょう)」の関係にあると言えます。その意味で,私たちと他者は一体なのですから,「情けは人の為(ため)ならず」とも言うように,他者を大切にし,他者を益する行動は,回り回っていつかは必ず自分を大切にし,自分を益することにつながってくるはずですし,逆に,「人を呪わば穴二つ」とも言うように,他者を粗末に扱い,他者を害する行動は,回り回っていつかは必ず自分を粗末に扱い,自分を害することにつながってくるはずです。「勝ち組」・「負け組」などという言葉もありますが,私たちと他者が一体であるとしたら,本来は勝ちも負けもないはずです。他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方ではなく,他者を協力相手(見方・仲間)と見なして助け合ったり,幸せを分かち合ったりするような生き方こそが,私たち人間にとって自然な生き方であると思いますし,私たち人間が目指すべき生き方なのではないでしょうか。くれぐれも,「勝ち組」・「負け組」などといった言葉に踊らされないようにしたいものです。(11)(14)(18)(20)関連