「そもそも人間のでき不できを学業成績で決めるようになったのがまずかったのや。」(『増補版 今西錦司全集 第十三巻』,講談社)
○勝ち組,負け組などと言いますが,人間同士の勝負など,所詮は「団栗(どんぐり)の背比べ」に過ぎないではないでしょうか。また,私たちは他者の支えや助けがなければ生きていられず(私たちと他者は持ちつ持たれつの相互依存関係にあり),その意味で,私たちと他者は一体なのですから,そもそも私たちと他者との間に,勝ち負けなどということは本来あり得ないのではないでしょうか。それなのに,私たちは,なぜ他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方を選んでしまうのでしょうか。なぜ他者を協力相手(味方・仲間)と見なして助け合ったり,幸せを分かち合ったりするような生き方を,なかなか選べないのでしょうか。他者に勝って社会的な成功を収めなければ(財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ)幸せにはなれない,人間として値打ちがないなどと煽(あお)られ,踊らされているだけなのではないでしょうか。幸せとは何か,人間の値打ちとは何かということを,自分の頭でじっくり真剣に考えてみる必要があるのではないでしょうか。(1)(4)(10)(11)(14)(19)(20)関連