他者からの評価など,そのほとんどは噂(うわさ)の域を出ず,「昨日の友は今日の仇(あだ)」,「昨日の敵は今日の味方」などとも言うように,ちょっとしたことですぐに手のひら返しに変わってしまうような無責任でいい加減なものです。さらに言えば,私たちは自惚(うぬぼ)れやすく,自分は周りの人たちから理解され,評価され,期待されている,自分がいなくなったら周りの人たちが困り,悲しむなどと勘違いしがちですが,実際には,周りの人たちは私たちが思っているほどには私たちを理解も評価も期待もしていませんし,私たちに対して関心さえほとんど持っていません。それは,私たちが周りの人たちに対してほとんど関心を持っていないのと同じです。私たちがいなくなっても,周りの人たちは何も困らずに,また,それほど悲しむこともなく生き続けますし,地球も回り続けます。そのような人たちに評価されないからといって落ち込んだり,評価されたからといって有頂天になったりすることほど馬鹿馬鹿しいことはないのではないでしょうか。毀誉褒貶(きよほうへん)に一喜一憂する必要など,まったくありません。むしろ,私たちは,毀誉褒貶に一喜一憂しないでいられるだけの鈍感さや図太さをこそ身に付ける必要があると思います。