「数百万年に及ぶ人類進化の歴史において，農業の登場は，比肩するもののない最大の変化であり，それがもたらした影響に比べれば，産業革命や情報化時代の影響も色あせて見える。」，「穀物の貯蔵は富の蓄積を可能にし，たちまち富を独占する者が出てきた。最初の農業都市ですでに富の偏りが起きていたことが，考古学的記録にはっきりと残されている。いっぽうで，昔も今も狩猟採集民の社会では，富の偏りは確認されていない。」（『GO WILD』，ジョン J. レイティ他，野中香方子訳，NHK出版）
○私たちは，なぜ生きていくのに必要なものだけで満足できないのでしょうか。なぜ生きていくのに必要以上のものまで手に入れようとするのでしょうか。必要以上に欲張るからこそ，不満ばかりが募り，挙げ句の果てには，自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのではないでしょうか。必要以上に欲張ることさえやめれば，不満ばかりを募らせてしまうようなことはなくなり，幸せな人生を送ることはもっとはるかに容易になるのではないでしょうか。生きていくのに必要以上のものを手に入れることにではなく，生きていくのに必要なものだけで満足できるようになることにこそ，関心を払い，力を注ぎたいものです。そして，生きていくのに必要以上のものを手に入れることにではなく，真に人間らしく実り多い（自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な），生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることにこそ，限りある大切な時間やエネルギーを使えるようになりたいものです。（前書き）（１）（４）（６）（14）（21）関連
