「NGOオックスファムの2017年の報告書によると,世界規模で見ると,最も富裕な1%が2016年に創出された富の82%を独占し,他の99%の人々を合わせたものよりも多くの富を所有していた。」,「米国の最富裕層1%は,最貧困層40%と同じだけの収入を稼いでいる。」(『脱成長』,セルジュ・ラトゥーシュ,中野佳裕訳,白水社)
○人間の欲望には際限がありませんので,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くのもの(必要以上のものまで)を手に入れたとしても,私たちの心が満ち足りるということはありません。常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,より多くのものを追い求めてあくせくし続けることになってしまいます。そして,多くの場合,不満を募らせるがままに,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまいます。また,欲望の肥大化を歓迎し,奨励し,そそのかすすような社会にあっては,当然のことながら,貧富の差(経済格差)は拡大するばかりです。常に満ち足りた気持ちで心安らかに幸せな人生を送りたいと望むのであれば,私たちは,自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛け,必要以上に欲張ることをやめるべきなのではないでしょうか。必要以上に欲張ることさえやめれば,私たちはきっと,たとえそれが必要最小限のものであったとしても,自分が持っているものだけで満足できるようになるはずです。また,社会の風潮が欲望の肥大化を抑える方向に変わってくなら,貧富の差がこれ以上拡大することはなく,貧困問題も自然に解決されるのではないでしょうか。(4)(6)(21)関連