「問題は，ニーズを満たすために経済成長をすること・・・ではなく，経済成長のために経済成長することにある。」（『脱成長』，セルジュ・ラトゥーシュ，中野佳裕訳，白水社）
○人間の欲望には限りがなく，放って置けば，どこまでも肥大化していきます。したがって，自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けない限り，たとえどれだけ多くのもの（必要以上のものまで）を手に入れたとしても，私たちの心が満ち足りるということはありません。常に不満を抱えたまま，死ぬ瞬間まで，より多くのものを追い求めてあくせくし続けることになってしまいます。場合によっては，不満を募らせるがままに，自分は不幸であるなどと思い込むようにさえなってしまいます。しかし，自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けられるようにさえなるなら，たとえ必要最小限のものしか持っていなかったとしても，私たちは自分が持っているものだけで満足できるようになります。常に満ち足りた気持ちで，心安らかに（心豊かに）幸せな人生を送ることが可能になります。生きていくのに最低限必要なものが確保できないような状況は何としてでも改善・解消されるべきですが（国の福祉政策などによって），心安らかに幸せな人生を送れるようになるためにも，私たちはそろそろ，必要以上に欲張ることをやめ，自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けることを学び始める必要があるのではないでしょうか。（４）（６）（21）関連
