「とにかくよくつづくものだと思われるほど働いたのである。/しかしそういう生活に不平も持たず疑問も持たず,一日一日を無事に過ごされることを感謝していた。」(『忘れられた日本人』,宮本常一,岩波書店)
◯人生は自分の思い通りになるはずであると思い上がったり,人生を自分の思い通りにしたいと欲張ったりするからこそ,不平不満は生じるのであり,挙げ句の果てには,感謝の気持ちを忘れるとともに,いま自分の目の前にある幸せに気づくことさえ難しくなってしまうのだと思います。そもそも人生はままならないものなのであり,その事実を謙虚に受け入れ,小欲知足を心がけさえすば,不平不満が生じることも少なく,また,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さや他者に対する感謝の気持ちを忘れることもなく,誰もが生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるのではないでしょうか。(2020年4月7日)