◯人間の心には,バランスを取ろうとする働きがある。「自分なんかどうなったってかまわない。」と言う人の心の中にも,自分自身を大切にしたいという気持ちはきっと残されているし,「他人なんか誰も信用できない。」と言う人の心の中にも,信用できる他人と巡り会いたいという気持ちはきっと残されている。また,「生きていたって何も良いことなんかない。」と言う人の心の中にも,人生に対する希望を完全には失いたくないという気持ちがきっと残されている。状況が整いさえすれば,バランスを回復しようとして心は自然に動き出す。要は,状況が整うまでの辛抱であり,辛抱を可能にする心の支えである。(2019年7月11日)