「その人の否定的な感情がまったく十分に表現されたとき,それに続いて,かすかに,またためらいながらではあるが,成長へと向かう肯定的な衝動が表現される。・・・否定的な表現が激しく,深いものであればあるほど(それが受容され理解されるならば),愛情,社会的交流への衝動,根本的な自己尊重,成熟したいと言う欲求などの肯定的表現が,より確かなものとして生じてくる。」(『ロジャーズ主要著作集 1 カウンセリングと心理療法 実践のための新しい概念』,末武康弘・保坂亨・諸富祥彦訳,岩崎学術出版社)
◯世の中全般を否定的に捉えるようになってしまった人も,その感情を誰かにしっかり受け入れられ,理解されるならば,そのことを通じて世の中の肯定的な側面にも少しずつ目を向けられるようになっていく。状況さえ整えば,バランスを回復しようとして自然に動き出す人間の心の不思議。(2019年7月11日)