「おのれが幸せである者は,またひとを幸せにする者である。」(『逝きし世の面影』,渡辺京二,平凡社)
○私たちは,自分が幸せだからこそ,自分の幸せのみならず他者の幸せをも願い,喜び,不幸な状況にある他者が幸せになるための手助けをすることができるのではないでしょうか。実際,不幸な人間は(自分は不幸であると思い込んでいる人間は),他者の幸せを妬みやすく(他者の不幸を願い,喜びやすく),不幸な状況にある他者が幸せになるための手助けをするどころか,幸せそうな他者を自分と同じような不幸な状況に巻き込もうとしがちです。しかし,そのような有害無益な人生を送ることに,いったいどのような意味があるのでしょうか。私たちは他者のお陰で(数知れぬ他者の直接的又は間接的な支えや助けがあればこそ)生きていられるのですから,他者に迷惑を掛けたり,他者に害をもたらしたりすることを極力控え,他者の役に立ったり,他者に益をもたらしたりすることをこそ心がけるべきなのではないでしょうか。それが人間の本来あるべき姿なのではないでしょうか。そのような有益無害な人生を送れるようになるためにも,つまらないこと(例えば,他者と競い合って社会的な成功を収め,財産や地位や権力や名声などを手に入れることなど)に限りある大切な時間やエネルギーを無駄遣いすることなく,幸せになり,幸せであり続けることを人生の最優先課題とし,幸せになり,幸せであり続けることにこそ最大限の関心を払い,最大限の力を注ぎたいものです。(2)(3)(10)(16)関連