「強くなるとは,暴力的になるとか,押しつけがましくなるとか,セクハラをするとか,何ごとにつけてくどくなることの「反対」である。これらは,弱さのあらわれである。」(『看護のための精神医学 第2版』,中井久夫・山口直彦,医学書院)
○私たちは,自分と他者を比較しては他者との勝ち負けにこだわり,他者に対してマウントを取ろうと(他者に対して自分の強さを誇示しようと)しがちですが,これは自信(強さ)の現れと言うよりは,むしろ,自信のなさ(弱さ)の現れと言えるのではないでしょうか。本当に自信のある人は,他者のことなど余り気にしないでしょうし(したがって,他者との勝ち負けになどに余り関心を持たないでしょうし),他者に対してマウントを取ることなどより,自分が信じる目標や理想に向かって自分が進むべき道を邁進(まいしん)すること(そのことを通じて自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社会の役に立つこと)にこそ,限りある大切な時間やエネルギーを使おうとするのではないでしょうか。人生は,すなわち,私たちがこの世の中で生きることができるチャンスは,たった一度きりです。たった一度きりの人生に大きな悔いを残さないようにするためにも,限りある大切な時間やエネルギーを詰まらないこと(自分と他者を比較したり,他者に対してマウントを取ることなど)に浪費しないようにしたいものです。(前書き)(11)(13)(14)(18)関連