「子供は親の背中を見て育つ」,「子は親を映す鏡」,「子供は大人の鏡」,「子供に勝る宝なし」,「子に過ぎたる宝なし」,「千の蔵より子は宝」などとも言いますが,自分の生き様(ざま)を通して,真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな生き方の手本を示すことこそが,未来を担う子供たちに対する大人の務めなのではないでしょうか。「われのできぬことを ひとにさせるな」(中井久夫)とも言うように,たとえそれが自分の子供であったとしても,自分にできないことを他者に求めるべきではありませんし,している本人が気持ちいいだけの建前的な説教などより,本音がにじみ出ざるを得ない生き様の方が,よほど大きな説得力や感化力(子供たちの心を大きく動かすだけの力)を持つと思うからです。もちろん,大人の生き様を見て,そこから何を学び,何を身に付けるかは,子供たちの自由であり,子供たちの主体性に任せるべきであるとは思いますが。