「(村田蔵六,のちの大村益次郎は)国家をあげて金儲(かねもう)けに専念している西洋というものに,野蛮以外のなにものも感じていなかった。」(『花神』,司馬遼太郎,新潮社)
○今の世の中,お金がなければ生きていけません。しかし,贅沢(ぜいたく)さえ言わなければ,人間が生きていくのに必要なお金など,本当は高が知れているのではないでしょうか。なぜ私たちは必要以上のお金を手に入れようとするのでしょうか。必要以上のお金を手に入れることばかりに必死になり,その他のことを蔑(ないがし)ろにしてしまうのでしょうか。私たちはお金に価値を置きすぎているのではないでしょうか。お金に価値を置きすぎる余り,本当に大切なものが分からなくなってしまっているのではないでしょうか。「お金で買えないものなど何もない」と言う人もいますが,私たちの命,その命を守り,私たちが生きることを可能にしてくれている大自然(人体も含め。)の神秘的とさえ言える精妙な仕組みや働き,私たちの人生を成り立たせてくれている数知れぬ他者の直接的又は間接的な支えや助け,自分が今ここでこうして生きていられることを感謝する気持ち,自分が本当に信じることのできる自分なりの目標や理想,他者との一体感,自分の人生を自分の努力によって主体的に切り開いていこうとする強い意志,曇りのない眼や心の平安,人生の真理など,本当に大切なものはお金では買えないものばかりです(少なくとも,お金があれば必ず買えるというものではありませんし,お金がなくてもなく手に入れられるものがほとんどです。)。くれぐれも,お金に価値を置きすぎて(金銭欲に目を暗ませて)本当に大切なものを見失わないようにしたいものです。(20)(21)関連