「人間のえらさに尺度がいくつもあるが,最少の報酬でもっとも多くはたらく人ほどえらい人ぞな。一の報酬で十の働きをする人は,百の報酬で百の働きをする人よりえらいのぞな」(『坂の上の雲』,司馬遼太郎,文藝春秋)
○拝金主義に染まれば,金銭以外の価値を見失い,お金をたくさん稼ぐ人が価値のある偉い人(お金をたくさん稼げない人は価値のない詰まらない人)ということになってしまいます。しかし,改めて言うまでもなく,人間の価値や偉さは,稼ぐお金の額によって決まるわけではありません。稼ぐお金がどれだけ少なくても,仕事を通じて自分を人間的に成長(成熟)・向上させつつ他者や社会の役に立つことができているのなら,その人は間違いなく偉い人ですし(むしろ,稼ぐお金が少なければ少ないほど,その偉さは際立つかも知れません。),そもそも,生きていることは,それ自体が一つの奇跡なのですから(実際,この世の中にこれ以上の奇跡があるでしょうか。),人間は生きているというだけで十分に価値があるのではないでしょうか。人間の真の価値や偉さを見失わないようにするためにも,拝金主義に染まってしまわないように細心の注意を払いたいものです。(1)(14)(20)関連