「足るを知る者は富む」，「貪らざるを以（もっ）て宝と為（な）す」，「（金持ちの貧乏人）貧乏人の金持ち」などとも言うように，欲望の肥大化を放置することなく，自分の欲望に自分の意志で（他者に強制されてではなく）ブレーキを掛け，必要以上に欲張ることさえやめれば（自分をできる限り無欲・小欲の状態に近づけることさえできれば），たとえ必要最小限のものしか持っていなかったとしても，たとえどのような質素（貧乏）な暮らしをしていたとしても，私たちは自分の人生に満足することが可能になりますし，自分が持っているものの豊かさに気付いたり，自分がそれらのものを持っていることの有り難さに感謝したりできるようになります。そして，自分の欲望の奴隷になることなく，常に満ち足りた気持ちで心豊かに幸せな人生を送れるようになります。そのような人生を送れるようになるためにも，私たちは，経済成長を促すべく人々の欲望の肥大化を歓迎したり，奨励したり，そそのかしたりする現代社会の風潮に対して異議を申し立てる必要があるのではないでしょうか。
