「足るを知る者は富む」とも言うように,自分の欲望にブレーキを掛け,自分の欲望を減らすことさえできれば,すなわち,自分をできる限り無欲・小欲の状態に近づけることさえできれば,たとえ必要最小限の物しか持っていなかったとしても,私たちは自分の人生に満足することが可能になりますし,自分が持っている物の豊かさや有り難さにも気づけるようになるのではないでしょうか。欲望の奴隷として,より多くの物(必要以上の物まで)を必死になって追い求め続けることもなくなり,また,より多くの物を手に入れようとして他者(ひいては,他国)と競い合ったり,パイを奪い合ったりするようなこともなくなり,心はかえって豊かになるのではないでしょうか。より多くの物を追い求め続けることは,必然的に,他者を競争相手(敵)と見なし,他者と敵対することにつながりますが,より多くの物を追い求め続けることをやめるなら,他者を協力相手(味方・仲間)と見なし,他者との間に友好的かつ協調的な信頼関係を築くことも,より容易になると思います。また,より多くの物を追い求め続けることをやめることで,自然環境に取り返しがつかないほどの大きな負荷をかけてしまう危険性も確実に低下すると思います。