「生活はお金で買うことができる。しかし,幸福をお金で買うことは絶対にできない。なぜなら,幸福とは,職業や生活のことではなくて,心のことだからだ。心が幸福になるのでなければ,人が幸福になることは,絶対にできないからだ。」(『14歳の君へ』,池田晶子,毎日新聞出版)
○幸せとは,自分は幸せであると心の底から思えるということです。自分は幸せであると心の底から思えるなら,たとえどのような逆境(恵まれない境遇)にあったとしても,その人は確かに幸せなのです。逆に,自分は幸せであると心の底から思えないなら,たとえどのような順境(恵まれた境遇)にあったとしても,その人は確かに幸せではないのです。要するに,人間の幸不幸は,境遇によって決まるのではなく,心の持ち方,すなわち,その境遇をどのように受け止めるのか,その境遇をどのような心構えや心掛けで生きていくのかによって決まるということです。私たちは,恵まれた境遇を手に入れたがり,また,恵まれた境遇にある人間を羨んだり,妬んだりしがちですが,そのようなことより,どのような境遇にあっても自分は幸せであると心の底から思えるように,自分の心の持ち方を変えることにこそ関心を払い,力を注ぐべきなのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに常に深く思いを致し,心から感謝する習慣を身に付けるなどして生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちはきっと,たとえどのような逆境にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても,幸せになり,幸せであり続けることが可能になるはずです。(前書き)(1)(2)(7)(9)(10)関連