人間は,生存が脅かされるような危機的な状況や困難な状況においては,他者と力を合わせなければそのような状況を乗り越えられない(生き残れない)ということもあり,他者を協力相手と見なして互いに支え合ったり,助け合ったりしようとします(そのような状況下では,婚姻率や出生率も上がると言われています。)。しかし,そのような状況が解消されてしまえば,すなわち,現在の日本のような豊かで安全で便利な社会においては,直接的には他者と協力し合う必要性が低下することもあり,互いに支え合ったり,助け合ったりすることの大切さが分からなくなるとともに,自分の欲望を充足させることばかりを優先し,他者を競争相手(自分の欲求充足を妨害する邪魔者)と見なして互いに足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするようになってしまいます(そのような状況下では,人間は,人付き合いや集団行動を嫌い,単独行動を好むようになります。)。困っていたり,苦しんでいたりする他者に対する関心や同情心も,必然的に薄れてしまいます。