「目が不自由にならないと,青い空や白い雲を見るための目があることが奇跡だと気づきません。見えているときには,めったにそのことがわからないのです。見えるのが当たり前だという考えがあるからです。」,「生きているという事実は,まぎれもない奇跡です。そんな大げさなと言う人でも,この瞬間に生きていることにはっきりと目覚めれば,生きていることのすばらしさ,喜びに気づくはずです。」,「自分の外に幸せを探す必要はありません。幸福がここにあることに気づきさえすれば,そのとたんに幸せがやってきます。」(『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』,ティク・ナット・ハン,島田啓介訳,野草社)
○この地球上に生き物(生命)が誕生したこと自体,奇跡的な出来事と言えますが,私たちが生きているということも,一つの奇跡と言えます。私たちが今ここでこうして生きていられるということは,よくよく考えてみれば,心から感謝すべき有り難いことであり,この有り難さに気づくことさえできれば,私たちは生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるのではないでしょうか。そして,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになり,「生きてるだけで丸儲(まるも)け」(さんま)と心の底から思えるようになるなら,たとえどのような逆境にあったとしても,たとえどのような不運に見舞われたとしても,改めて言うまでもなく,財産や地位や権力や名声など手に入れなくても,生きている限りは幸せであり続けることが可能になるのではないでしょうか。私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることを当たり前と思い,感謝する気持ちを忘れしまうからこそ,不平不満ばかりを募らせては,自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのではないでしょうか。私たちは本来,生きているというだけですでに十分に幸せなのですから,自分が今ここでこうして生きていられることを当たり前と思うことなく,感謝する気持ちを決して忘れないようにしたいものです。(1)(2)(4)(6)(7)関連