「呼吸に気づくことができれば,今ここへ歩み入るための門が開きはじめます。・・・呼吸に気づくことで,今この瞬間において,そして今この瞬間に対して,目覚めることができるのです。」(『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』,ティク・ナット・ハン,島田啓介訳,野草社)
○私たちは人生の大半を,過去や未来に心を奪われたり,他者との勝負や世間の評判に気を散らすなどして,心ここに在らずという状態で過ごしています。しかし,心ここに在らずという状態で生活している人間が,幸せな人生を送れるはずがありません。なぜなら,私たちが生きることができるのは今ここしかないのであり,幸せであるというのは今ここで生きている自分が幸せであるということなのですから。実際,心ここに在らずという状態で生活している人間は,いま自分の目の前にある幸せに気づくことさえ難しいのではないでしょうか。いま自分の目の前にある幸せに気づけるようになり,ひいては,自分の人生に生きる喜びや幸せを無限の見いだせるようになるためにも(生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるためにも),常に今ここに気持ちを集中して生活することを心がけたいものです。(8)関連