「計り知れない価値のあるたくさんの宝石を,私たちは受け取っている。それなのになぜ,貧しい子どものようにさ迷うのか」(『ブッダの〈呼吸〉の瞑想』,ティク・ナット・ハン,島田啓介訳,野草社)
○私たちが暮らしている社会は,人類史上最も豊かで安全で便利な社会と言えます。にもかかわらず,なぜ私たちは,そのような社会で暮らせることに感謝するどころか,社会に対して不平不満ばかりを募らせてしまうのでしょうか。そもそも,生きているということは,一つの奇跡,一つの奇跡的な恵みと言えます。にもかかわらず,なぜ私たちは,自分が今ここでこうして生きていられることに感謝するどころか,自分の人生に対して不平不満ばかりを募らせてしまうのでしょうか。私たちは,必要以上に欲張り続けるからこそ,いつまでたっても現状に満足することができず,挙げ句の果てには自分は不幸であるなどと思い込むようになってしまうのであり,必要以上に欲張り続けることさえやめれば,現状に満足し,幸せな人生を送ることが,もっとはるかに容易になるのではないでしょうか。必要以上に欲張り続けることをやめ(自分の欲望に自分の意志で適切にブレーキを掛け),自分がすでに十分に恵まれていることに気づけるようになりたいものです。そして,そのことに心から感謝できるようになりたいものです。(1)(4)(6)(21)関連