「個としては生き延びていくことができなかったヒトは社会を作って,その中で相互に助け合うという進化を遂げました。(長谷川)」,「たしかに大自然の中で生き延びていくためには,とにかく仲間意識をおたがいで持ち,協力関係を築けないと共倒れになってしまいます。(長谷川)」(『きずなと思いやりが日本をダメにする』,山岸俊男・長谷川眞理子,集英社インターナショナル)
○現代の日本のような豊かで安全で便利な社会で暮らしていると,ついつい忘れてしまいがちですが,私たちは独りでは生きていられません。私たちは,目に見える直接的なものも目に見えない間接的なものも含め,数知れぬ他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのです。実際,衣・食・住のどれ一つを取っても,完全に自給自足できている人などいないのではないでしょうか。この事実を正しく認識するなら,他者(あるいは,他国)を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方は真っ当な生き方ではなく不自然な生き方であり,他者を協力相手(見方・仲間)と見なして助け合ったり,生きる喜びや幸せを分かち合ったりするような生き方こそが真っ当な生き方であり自然な生き方であるということが,よく分かるはずです。他者と競い合って財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないなどといったデマには,くれぐれも踊らされないようにしたいものです。(1)(10)(11)(14)関連