「ダーウィン説は生き残るには競争が必要である点を重視しすぎていて,実際にはむしろ,競争において最も効果的な戦略は個体群内における協力と別の個体群との相互依存関係にある場合が多い」(『ビッグヒストリー』,デヴィッド・クリスチャン他,石井克弥他訳,明石書店)
○豊かで安全で便利な社会で生活していると,ついつい忘れてしまいがちですが,私たちは一人では(孤立無援の状態では)生きていられません。私たちは,直接的なものや間接的なものも含め,数知れぬ他者の支えや助けがあればこそ生きていられるのです。要するに,私たちと他者は持ちつ持たれつの相互依存関係,言わば一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にあるわけですから,他者を競争相手(敵)と見なして足を引っ張り合ったり,パイを奪い合ったりするような生き方ではなく,他者を協力相手(味方・仲間)と見なして助け合ったり,幸せを分かち合ったりするような生き方こそが,より自然で真っ当な生き方と言えるのではないでしょうか。曇りのない眼や心の平安を取り戻すためにも,他者と競い合い,他者との勝負に勝ち,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないなどという考え方(デマに基づく迷信)のおかしさに,早く気づけるようになりたいものです。(3)(10)(11)(14)(19)関連