人間の欲望には限りがありませんので，自分の欲望に自分の意志でブレーキを掛けない限り，私たちは，いつまでたっても自分の人生に満足することができません（一時的には満足できたとしても。）。喉の渇きが水を飲むことによって簡単に癒せるのとは異なり，自分の欲望に執着し，欲張り続ける限り，たとえどれだけ多くの物やお金（必要以上の物やお金まで）を手に入れたとしても，欲しい物は次から次へと現れてくるため，心が満ち足りるということはありませんし，自分が持っている物の豊かさや有り難さに気づくこともできません。どのような贅沢（ぜいたく）な暮らしにも，すぐに慣れ，当たり前と思うようになり，感謝する気持ちを忘れるととも飽き足りなくなってしまいます。欲望の肥大化に満足は追い付けず，結局は，常に不満を抱えたまま，死ぬ瞬間まで，自分の欲望に追い立てられ，振り回される形で，あるいは，他者（さらに言えば，他国）と競い合い，パイを奪い合う形で，より多くの物やお金や，より贅沢な暮らしを追い求め続けることになってしまい，心は貧しいままです。より多くの物やお金や，より贅沢な暮らを追い求め続けることで，経済格差は必然的に拡大し，自然環境に取り返しがつかないほどの大きな負荷をかけしまう危険性も高まります。
