「きのうの出来事に関する新聞記事がほとんどうそばかりである場合もある。しかし数千年前からの言い伝えの中に貴重な真実が含まれている場合もあるであろう。」(「神話と地球物理学」(『寺田寅彦随筆集』所収),岩波書店)
○真理に新しいも古いもありませんし,むしろ,時の試練に耐えて生き残ったものの中にこそ真理は多く含まれているのではないでしょうか。最新の情報(ニュース)にも関心を払い続けることが望ましいとは思いますが,私たちがより重視すべきなのは,昔から言い伝えられている諺(ことわざ)とか,昔から読み継がれている古典といったものなのではないでしょうか。それらはまさに,人類の経験や英知の精髄・結晶と言えます。真理を体得し,実践することによって,真に人間らしく実り多い(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れるようになるためにも,最新の情報を追い求めるだけではなく,「温故知新』(故(古)きを音(尋)ねて新しきを知る)」という姿勢を忘れないようにしたいものです。(12)(後書き)関連