人間は経験から様々なことを学びますが,自分を人間的に成長(成熟)・向上させ続けるためには,自分一人の狭い経験からだけではなく,より広く他者の経験や他者が学んだことなどからも学ぶ必要があります。特に,人類の経験や英知の結晶・精髄とも言える古典や古今東西の良書を愛読・熟読・精読することは,非常に貴重な学びの機会になり得ます。真理に新しいも古いもなく,むしろ,時の試練に耐えて生き残ったものこそが真理なのでしょうから,「温故知新(故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る)」という姿勢を忘れないようにしたいものです。また,人類がここまで進歩・発展できたのは,すなわち,私たちがこのような豊かで安全で便利な社会で暮らすことができるのは,先人が,自分の経験からのみならず,他者の経験などからも学び続け,その成果を後人が利用しやすい形で蓄積し続けてくれたお陰であり,私たちが様々なことを広く深く学べるのも,他者や先人のお陰なのですから,他者や先人に対する感謝の気持ちを忘れないようにするとともに,自分が学んだ結果についても,独り占めにすることなく,他者や後人が利用しやすい形で,できる限り社会に還元していくことを心がけたいものです。