「私は,この世で役立たずのように見えた人々が,その最も大切な瞬間,死を迎える時に,愛されたと感じながら,この世を去ることができるためなら,何でもしたいと思っているのです。」(『愛と祈りの言葉』,マザー・テレサ,渡辺和子訳,PHP研究所)
○この地球上に生き物(生命)が誕生したこと自体,奇跡的な出来事と言えますが,私たちが生きているということも,一つの奇跡と言えるのではないでしょうか。人体に備っている「免疫」という神秘的とさえ言える精妙な仕組みや働き一つを取っても分かるように,私たちは,数え切れないほど多くの幸運に恵まれて今ここでこうして生きていられるのです。そのように考えるなら,生きているということは,心から感謝すべき有り難いことであり,それ自体に大きな価値のあることであるということが分かるはずです。私たちは他者や社会のお陰で生きていられるのですから,多少なりとも他者や社会の役に立つ人生を送ることが理想であるとは思いますが,人間は生きているだけで十分に価値があるのですから,たとえ目に見えるような形では他者や社会の役に立てなかったとしても,その人生の価値がなくなったり,低下したりすることはあり得ません。すべての人間が,他者や社会から大切にされ,その価値を認められるとともに,自分自身でも自分が生きていることの価値を実感できるような社会を実現したいものです。(前書き)(1)(6)(10)(11)(14)(20)関連