「足るを知る者は富む(老子)」,「足るを知らざるより大いなる禍(わざわい)はない(老子)」(『欲望について』,ウィリアム・B・アーヴァイン,竹内和世訳,白揚社)
○人間の欲望には限りがありません。したがって,欲張り続ける限り,私たちは,いつまでたっても満ち足りるということがありません。常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,自分の欲望に追い立てられ,振り回される形で,より多くの物を(必要以上の物まで)追い求め続けることになってしまいます。しかし,必要以上に欲張ることさえやめれば,私たちは,たとえそれが必要最小限の物であったとしても,自分が持っている物(自分に与えられている物)だけで満足することが可能になります。常に満ち足りた気持ちで,心安らかに幸せな人生を送ることが可能になります。私たちは,社会的に成功し,財産や地位や権力や名声などを手に入れなければ幸せになれないと勘違いしがちですが,それらに執着して欲張れば欲張るほど,幸せからはかえって遠ざかってしまいます。そのような勘違い(デマに基づく迷信)から早く目を覚まし,生きているということは一つの奇跡であり,人間は生きているというだけですでに十分に幸せなのだ,ということに気づけるようになりたいものです。生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるなら,私たちはきっと,自分が持っている物だけで満足できるようになり,それ以上に欲張ることの無意味さを悟るはずです。(1)(4)(6)関連