「もっていないさまざまなものについてくよくよ考えるのではなく,折にふれて立ち止まり,いま現に所有しているものを失ったらどんな感じがするか考えるべきである(ショーペンハウアー)」(『欲望について』,ウィリアム・B・アーヴァイン,竹内和世訳,白揚社)
○欲張れば切りがありません。欲張り続ける限り,私たちは,たとえどれだけ多くの物を持っていたとしても,心が満ち足りることはなく,常に不満を抱えたまま,死ぬ瞬間まで,無い物ねだりをし続けることになってしまいます。常に満ち足りた気持ちで心安らかな(心豊かな)人生を送りたいと本気で願うのであれば,私たちは,欲張ることをやめる必要があるのではないでしょうか。必要以上に欲張ることをやめ,自分が持っていない物(必要以上の物まで)を欲しがり,自分がそれらの物を持っていないことに不平不満を募らせるのではなく,たとえそれが必要最小限の物であったとしても,自分が持っている物だけで満足できるようになる必要があるのではないでしょうか。自分の命なども含め,自分が持っている物(自分に与えられている物)の豊かさに気づき,自分がそれらの物を持っていることの有り難さに心から感謝できるようになるなら,私たちはきっと,それ以上に欲張ることが恥ずかしくなるはずです。(4)(6)関連