「ほとんどの人は,自分が持っていないものへの欲望に駆られながらむだな時間をすごしている。それよりもマルクス(・アウレリウス)が言うように,同じ時間を使うのであれば,いま持っているものに思いを寄せ,それがなくなったらどんなにつらいだろうと考えてすごすほうが,はるかに賢明であろう。」(『良き人生について』,ウィリアム・B・アーヴァイン,竹内和世訳,白揚社)
○私たちは,自分が持っていなくて他者が持っている物を羨ましがり,欲しがりがちですが,欲張れば切りがなく,欲張り続ける限り,たとえどれだけ多くの物を手に入れたとしても,心が満ち足りるということはなく,常に不満を抱えたまま,より多くの物(必要以上の物まで)を手に入れるだけのために人生のほとんどんを費やしてしまうことにもなりかねません。人生は短く,しかも,私たちがこの世の中で生きることのできるチャンスは,たった一度きりです。たった一度きりの人生に大きな悔いを残さないようにするためにも,私たちは,より多くの物を手に入れることにではなく,人生を大いに楽しみ,味わい尽くすことにこそ(真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送ることにこそ),限りある大切な時間やエネルギーを使うべきなのではないでしょうか。まずは,自分が持っていない物を欲しがり,自分がそれらの物を持っていないことに不平不満を募らせるのではなく,自分が持っている物(自分に与えられている命なども含め。)の豊かさや,自分がそれらの物を持っていることの有り難さに気づき,たとえそれが必要最小限の物であったとしても,自分が持っている物だけで満足できるようになりたいものです。(2)(4)(6)(10)(14)(18)(20)関連