実り多い幸せな人生を送るために

真に人間らしく実り多い,生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送るために

 自戒の念を込め,どのようにすれば真に人間らしく(自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な),生きる喜びや希望に満ちた幸せな人生を送れるのかということについて,あるいは,実り多い幸せな人生を送ることは誰にでも可能であるということについて,様々な名言などをヒントにしつつ(それらに含まれている人生の真理を私なりに理解しつつ),できる限り分かりやすく筋道立てて説明していきたいと思います。皆様が実り多い幸せな人生を送る上において,多少なりともお役に立てれば幸いです。               皆様の人生が,実り多い幸せなものでありますように!

(13)自分を人間的に成長・向上させ続けるためには,好きなことを見つけ,そこに見いだした自分なりの目標や理想に近づくための努力を楽しめるということが重要である。

 「好きこそものの上手(じょうず)なれ」,「下手(へた)は嫌いの証拠」(五味太郎)などと言いますが,私たちは,自分が好きなこと(ほとんどの場合,それは自分の人生にとって必要不可欠なことと感じられます。)だからこそ,どのような困難や苦労にもめげることなく,辛抱強く努力し続けることができるのではないでしょうか。そして,長年にわたって怠ることなく努力し続ければこそ(「大器晩成」と言うように,大きな器が出来上がるまでには,どうしても長い時間を必要とします。),才能の有無にかかわらず,上達もし,それに見合った成果も得られ,また,自分を人間的に成長(成熟)・向上させ続け,そのことを通じて,自分の可能性を十分に花開かせ,実を結ばせるとともに,多少なりとも他者や社会の役に立つことができるのではないでしょうか。このように考えるなら,自分を人間的に成長・向上させ続けるためには,自分が本当にやりたいと思える好きなことを見つけ,あるいは,自分がやっていることを本当に好きになり,そこに自分が信じることのできる自分なりの目標や理想を見いだし(自分なりとは言っても,「すべての道はローマに通ず」るのでしょうが。),その目標や理想に一歩でも近づくための努力を心から楽しめるということが重要であることが分かります(努力することを楽しいと思えるようになるためには,自分が好きなことに打ち込めることの有り難さに気づけるだけの想像力を持ち,感謝する気持ちを忘れないということも重要であるとは思いますが。)。

 なお,何事も嫌々やったところで意味のある成果を得ることはできず,周囲に迷惑や負担を掛けるとともに,不満やストレスや疲れなどがたまるだけですので(まさに「骨折り損のくたびれ儲(もう)け」です。),仕事など,自分がやらなければならないことについては(もちろん,反社会的なことや自分の信念に反するようなことは別ですが。),嫌々やるのではなく,是非とも楽しみながらやりたいものです。その気になって全力で前向きに取り組めば,何事にも何らかの楽しさややりがいを見いだせるものです(「石の上にも三年」とも言うように,楽しさややりがいを見いだせるようになるためには,相応の期間,辛抱強く努力する必要があるとは思いますが。)。そして,楽しさややりがいをさらに極めていくことによって,自分がやっていることを本当に好きになっていく,ということはよくあることです。

 自分が本当にやりたいと思える好きなことや,自分なりの目標や理想がいまだ漠然としている段階においては,やる気を喚起し,維持していく上において,当面の努力目標を到達可能な範囲に設定することも有効であると思いますし,当面の必要に迫られて行動するというのが,より一般的であるとは思います。しかし,当面の努力目標に到達するために,あるいは,当面の必要に迫られて行動するだけでは,その場限り,その場しのぎになりやすく,困難や苦労に耐えてまで辛抱強く努力し続けるということは難しいのではないでしょうか。自分なりの目標や理想がなければ,自分が目指すべき方向性が定まらず(目的地を定めずに歩き回ることにも,息抜きとしての意味はあるのでしょうが。),行き当たりばったりに彷徨(さまよ)い続けた挙げ句,どこにもたどり着けないまま一生を終えてしまうということにもなりかねませんので(自分の可能性を十分に花開かせ,実を結ばせることができないまま,人生に大きな悔いを残してしまう可能性が高いので),自分が本当にやりたいと思える好きなことを見つけ,そこに自分なりの目標や理想を見いだすことは,やはり重要であると思います。

 なお,人生に掲げる目標や理想は,人生の指針を明確化し,自分が進むべき道を明らかにするためのものなのですから,到達・実現不可能なものであっても一向に構いません(したがって,たとえ何歳になろうとも,目標や理想を掲げるのに遅すぎるということはありません。)。むしろ,すぐに到達・実現できてしまうようなものでは人生の指針にはなり得ませんし,人生の途中で自分が進むべき道を見失ってしまうことにもなりかねませんので,「少年よ大志を抱け」という言葉どおり,目標や理想は,大きければ大きいほど,高ければ高いほどいいとさえ言えます(大きな目標や高い理想を掲げることは,翻って自分の無知さや未熟さを自覚することにもつながりますので,何歳になっても慢心することなく,謙虚さや,真摯に学び,努力する姿勢や,素直に反省する態度などを保ち続ける上においても重要なのではないでしょうか。)。もちろん,自分が掲げた目標や理想に縛られて身動きが取れなくなり,かえって成長・向上にブレーキが掛かってしまうというのでは本末転倒ですので,目標や理想は,状況の変化などに応じてある程度は柔軟に修正可能なものであることが望ましいと思います。人間が考えることに完璧ということはありません。「過ちては則(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」,「過ちて改めざる是(これ)を過ちという」,「君子は豹変(ひょうへん)す」などとも言いますが,目標や理想についても,いったん掲げた目標や理想にこだわり,固執するのではなく,常に開かれた心で謙虚に見直し,より善い,より人間らしいものに随時修正していく必要があると思いますし,必ずしも目標や理想を一つに限定する必要はないと思います。目標や理想を一つに限定してしまったら,何らかの理由によってその追及ができなくなってしまった場合に,あるいは,その目標に到達し,その理想を実現してしまった場合に,一時的にせよ,人生の指針を失い,あるいは,自分が進むべき道を見失い,途方に暮れてしまう可能性が高いからです。