「まるで死んでいるような者が，死ぬのをいちばん嫌がる。（ラ・フォンテーヌ）」（『世界ことわざ名言辞典』，モーリス・マルー編，田辺貞之助監修，島津智編訳，講談社）
○一日一日を，一瞬一瞬を大切にすることなく，日々ぼんやりと怠惰に過ごし，限りある大切な時間やエネルギーを無駄遣いしているからこそ，私たちは，死を目の前にした際に，慌てふためき，取り乱してしまうのではないでしょうか。一日一日を，一瞬一瞬を掛け替えのないものとして大切にし，自分の可能性を十分に花開かせ，実を結ばせることや，多少なりとも他者や社会の役に立つことなどに気持ちを集中し，限りある大切な時間やエネルギーを有効に使うことができているなら，私たちはきっと，死を目の前にした際に，それほど慌てふためいたり，取り乱したりすることはないのではないでしょうか。思い残すことのない充実した有益な人生を送ることによって，いつかは必ず訪れる死を心安らかに迎え入れられるようになるためにも，私たちは，人間はいかに生きるべきか（どのように生きれば，真に人間らしく実り多い，自分にとってのみならず他者や社会にとっても有益な人生を送ることができるのか）という問題を，改めて真剣に考えてみる必要があるのではないでしょうか。（８）（11）関連
