「トーマス・マンの「政治を軽蔑するものは,軽蔑に価する政治しか持つことが出来ない」というアフォリズムは,幸福の場合にもあてはまる。」(『幸福論』,寺山修司,KADOKAWA)
○世の中の否定的な側面ばかりに目を向けていたのでは,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づくことは難しく,むしろ,不平不満ばかりを募らせた挙げ句,自分は不幸であると思い込むようになってしまうのが落ちです。世の中に否定的な側面があるのは事実ですが,肯定的な側面があるのも事実です。世の中の否定的な側面にしか目を向けないのは,世の中の肯定的な側面にしか目を向けないのと同じく,余りにも偏った不公平なものの見方と言えるのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに気づき,心から感謝できるようになり,ひいては,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるためにも,世の中の否定的な側面だけではなく,世の中の肯定的な側面にも積極的に目を向けるようにしたいものです。私たちは,世の中を否定し,不幸になるためにではなく,世の中を肯定し,幸せになるためにこそ生きているのであり,この世の中に生まれてきたのですから。(2021年7月31日)(4)(5)(6)(9)関連