「何かというと,人間の汚点や弱みや醜悪なところに焦点を合わせて,「かっこつけんじゃないよ」って言うのが正義の執行だと勘違いしている。」(『悩める人,いらっしゃい 内田樹の生存戦略』,自由国民社)
○短所や欠点や弱みなどの否定的な側面を有していない人間はいません。これは事実です。しかし,長所や美点や強みなどの肯定的な側面を有していない人間もいません。これもまた事実です。人間である以上,誰もがその両者を例外なく有しているのであり,人間の否定的側面ばかりに目を向けるのは,人間の肯定的側面ばかりに目を向けるのと同じく,余りにも偏った不公正(不公平)なものの見方と言えるのではないでしょうか。私たちは,世の中の肯定的な側面にも広く目を向けられるからこそ,いま自分の目の前にある幸せに気づくことができるのであり,ひいては,人生に無限とも言える生きる喜びや幸せを見いだすことが可能になり,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになるのですから,自分を不幸な状況に追い込まないようにするためにも,世の中の否定的な側面ばかりに目を向ける習慣を改めたいものです。そもそも生きているということは,ただ生きているというだけで幸せなことなのであり,私たちは幸せになるためにこそこの世の中に生まれてきたのですから。(2020年11月25日)(3)(4)(5)(6)(7)(9)(10)(17)関連