「感謝はものごとを「肯定的に見る」ことでもある。・・・これでいいのだ,と思えるのが感謝だ。」(『ぼくたちに,もうモノは必要ない。増補版』,佐々木典士,筑摩書房)
○恵まれない境遇に生まれ育つなどして,世の中全般を過度に否定的に捉えるようになってしまったために,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致すことができず,自分は不幸であると思い込むようになってしまっている人たちがいます。しかし,このような境遇に生まれ育てば必ず不幸になるというような境遇など絶対にありません。また,世の中に否定的な側面があるのは事実ですが,肯定的な側面があるのも動かしようのない事実です。世の中の否定的な側面にしか目を向けないのは,世の中の肯定的な側面にしか目を向けないのと同じく,余りにも偏った公平性(公正性)を欠いたものの見方と言えるのではないでしょうか。自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さに深く思いを致し,心から感謝できるようになり,自分が幸せであることに(生きているということは,ただそれだけで幸せなことなのだと)気づけるようになるためにも,世の中の肯定的な側面にも広く目を向けられるようになりたいものです。私たちは,人間や人生を否定し,不幸になるためにではなく,人間や人生を肯定し,幸せになるためにこそ生きているのであり,この世の中に生まれてきたのですから。(2021年2月27日)(5)(9)関連